2017/5/5

多部好み多部尽くし旅情4

 
「すみれの花咲く頃」ロケ地最終関門猪苗代町では君子の通っていた猪苗代高校(今回はあえて訪れませんでした。)や母親の勤務していた大型スーパー、郊外では学友と一夜を明かし宝塚受験を相談し母親に一緒に説き伏せる話をしていた田舎道、宝塚受験の夢を胸に橋の上から夕日を眺めるシーン、ラスト近くバスターミナルで泣きじゃくるシーン等劇中核となるシーンが多い場所でもありました。特に君子が夕日を眺めるシーンは太陽が山裾に隠れる一瞬をカメラにおさめる必要があったので時間との戦いでした。
 
先ずは猪苗代町駅近くのバスターミナルです。
 
全体の雰囲気は当時のまんまでしたがあいにくバスターミナルは閉鎖されていました。バスの影すら有りません。やはり地方都市の問題が残されたままだったのでしょうか?そして右手ターミナルで君子が学友に呟いた名セリフ・・・
「雪・・・ハッカのびろうど・・・中学の教科書に載っていた詩覚えてない?」
「・・・目が覚めた瞬間にもしやと思う・・・窓を開けると表はすっかりハッカのびろうどでおめかしをすませていた・・・冬だ冬がやってきたのだ」
「ハッカのびろうどって言葉すっごく残ってる・・・朝起きたら生まれ変わってる・・・みたいなこと考えない?私、ときどき思う・・・朝起きたらみんな変わってたらいいなって・・・」
心に響きます。多部ちゃんと学友が座っていた長椅子もなく面影を思い出すのみ・・・そしてここから旅立つんです・・・宝塚受験に向けバスに・・・
ところでこの「ハッカのびろうど」の詩脚色なんじゃないのと思うかも知れません。・・・が違うんです。私も原作を読みましたが「すみれの花咲く頃」作品中ではどこにも書いてありません。実は松本剛の他の作品で書いてあります。その作品名が「ハッカのびろうど」です。一言一句同じです!多分ですが作者へのリスペクトの表れなのかも知れません。状況も実にマッチングしているし・・・多部ちゃんが目をつむってハッカのびろうどの詩を読むシーン最高でした(涙涙)
そして劇中一番のクライマックス。多部ちゃんが泣きじゃくるシーンです!あまりにも意外だったので経緯は伏せときます。「私、母ちゃんが嫌いだった。じっちゃんが嫌いだった。この街嫌いだった・・・何もかもいやだった・・・何もかも捨てたかった・・・別に宝塚でなくってもよかった・・・みんな捨てられるなら何だってよかった・・・なのに私ってすっごくずるい・・・すっごく汚い・・・」とにかくこのシーンといい中盤の宝塚受験が母親にばれてしまったときの想いを打ち明けるシーンといい、よくここまで泣かせちゃうのかと・・・涙なしでは観れないシーンです。それでもオーバーアクションになっていなく極自然に演技出来てるからやっぱ多部ちゃんは素晴らしい!それこそ天性の技ですね!この作品を機にNHK朝の連続小説「つばさ」ヒロイン起用になったのかも、いや、当然の成り行きでそうなったと断言できます!そこから一気に多部ちゃんの知名度が上がってきました。そういう意味ではこれまでの女優多部未華子の集大成と言える作品となっています。
学友と宝塚受験の許可を一緒に掛け合ってあげると言って田舎道を自転車で押して歩いて行くシーン
別のショットから・・・
宝塚受験の許可を母親に一緒に掛け合ってくれると願い出た学友・・・でも君子は「いいよ・・・自分で言うから・・・ありがとう・・・それじゃ行くね」自転車に乗っていくシーンです。雪の時期ですと積雪ポールが立っていますがこの時期ですのでポールは撤去しています。一直線に伸びる小道を自転車に乗って帰る君子・・・ほんといい風景ですね!(続きは5へ)